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神戸をMerryにするために / 三浦知良

私はなぜか港町に縁がある。ブラジルの港町サントスでは、プロサッカー選手として大きく育ててもらった。イタリアの港町ジェノバでは“カルチョ文化”にどっぷりつかった生活を経験した。クロアチアで在籍したチームのキャンプ地はアドリア海に面したポーレッチという美しい港町であった。今年練習に参加したスペインのチームは北部の港町。

私たちサッカー選手に移籍はつきものである。だからいろいろな街に住む。その街にうまく溶け込めるかどうかがパフォーマンスに少なからず影響する。つまりその土地の言語、習慣や文化を理解することが必要だ。そして経験上最も重要なのは、その街に住むひとびとの輪の中へ積極的に参加していくことである。

西欧文化の香りが今も残る港町の神戸で、過去に開催されたJリーグや日本代表の試合では素晴らしい思い出が多い。しかも街の景色がサントスやジェノバに似ていてあの時熱く、激しく戦った記憶が蘇り日々の活力にもなっている。

私はこの街が好きだ。この縁を大切にしていきたいと思う。

街かどや“Cafe”でよく声をかけられる。みんな一様に温かく接してくれる。その温かさの中に、震災を乗り越えてきた神戸市民のポジティブな姿勢を感じる。この気持ちに応えるには「ヴィッセル神戸」で勝つことだ。みんなで力を合わせて勝利につなげていきたい。見に来てくれたみんなが楽しんで、幸せな気持ちになってもらえたら嬉しい。だから勇気を持って前向きに進んでいこう。かつて神戸市民が努力と助け合いでそうしてきたように。

[みうら・かずよし/プロサッカー選手]


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