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内田也哉子(エッセイスト)

たとえば、なまあたたかい風の流れにゆっくりと溶けだすかたい蕾
陽炎のむこうでじりじりと潤かされていく脳とこころ
想い出と夢の間で浮かんでは沈む黄昏いろの葉っぱたち
そんなものをすべて封じ込めた胸の奥で張裂けるくらい凍てついてしまった自分の過去・・・
めくるめく季節に漂う緊張感は心底激しくって、とめどなく愛しい。
それでも少しだけ立ち止まって考えてみたりもする。
移りゆくスピードという日常の中で記憶にも掠ることができないほどとりとめのない透き間に私はとてもわたしだったのかもしれない・・・。
“もしかしてMerryって、こんなこと?”
恐るべき少女たちの駆け抜ける笑い声が曖昧に静止していた私のココロをゆるやかに、
でも確実に突き動かした。


[うちだ・ややこ / エッセイスト]

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