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MERRY MEMBER


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Toh

年齢不明、謎の日本画家。Merryの大ファン。
先日も横山大観と共に展覧会を開催。
何万年も前から伝わるあるすてきな物語 Last Updated 2005.04.05

ここに
何万年も前から伝わるあるすてきな物語があります

それは
父が子に伝え
母が赤子に伝え
ときに子が祖父に聴き
ときに空から降りおりるように
その物語は延々と語りつがれていきました

その物語はあるできごとからはじまります

さて
さてさて・・・

ある夜
ジプシーのクレオはずーっと永遠に続く砂漠を眺めていました
耳を澄ますと
砂の流れる音が聞こえます
まるで風が唄っているように
光がダンスをしているようにも見えます
クレオはそんな夜が大好きで
いつも仕事を終えるとひとり外に出ていつもの風景を眺めるのです

静かな夜
まぶしい星
シルエットをつくる砂漠

クレオはふとある言葉をつぶやきました
すると
星がウインクをするではありませんか
おや?とクレオがそう思ったそのとき
まん丸のお月様がどんどんと大きくなっていきます
クレオはすこし身体を後ろにそらしながらも
目をめーいっぱい大きく開き
ゴクリと息を飲みました

お月様はどんどんと大きくなります
白くやらわかい光のお月様が
美しい紺色の夜空をうめてゆきます
トンっと音がし
クレオが目を何度かパチクリさせると
夜空はいつもの夜空に戻っていました
いつもの星といつもの夜空です
ですが
首をゆっくり回してとなりを見ると
そこに
かわいい女の子がこちらを向いて微笑んでいました
クレオはその自分の隣に座っている女の子を見ると
なんだかあーったかい気持ちになりました
クレオ自身もなぜだかわかりません
すこし驚きながらも
クレオはその女の子にこう聞きました

あなたは
どうして
笑えるの?

女の子はやさしくその笑みをまた深め

だって
美しいんだもんっ

そう答えました

クレオはきょとんとして我を忘れ
もう一度いつもの夜空を眺めました

ひとつ気づいたのは
そこに
いつものお月様がいなかったことでした


つづく


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