渋谷の街でdaijobuポスターづくり

 

東京2020大会の開催1000日前を記念して
渋谷ヒカリエにて開催された
「MERRY SMILE SHIBUYA for 2020」。

daijobuポスターづくりのプログラムでは、
アコーディオニスト・新居草太さんと
ブラインドライター・松田昌美さんをゲストにお迎えし、
お二人のお話を伺いながら、参加者たちがグループごとに、
視覚障害者への声がけを促すためのポスターを制作。

それらをつなげてひとつの巨大ポスターを完成させました!
ポスターの中には、渋谷を象徴するアイコンもレイアウトされ、
おもいやりとアクションがいっぱいの、やさしい渋谷の街を表現。

大人から子供まで、みんなで視覚障害について知り
自分たちに出来ることを考える機会となりました。


渋谷区の長谷部区長と取り組んできた「daijobu PROJECT」のプログラムとして、
渋谷区内の小学校などでも実施してきたこのワークショップ。

daijobuという一言は、相手の様子を伺う時や
心配する時、励ます時、やさしく断る時など…
様々なニュアンスで使われる言葉ですが、
その全てに共通するのは、相手の様子を見ながら
どんな状況かな?どんな気持ちかな?
と想像する、思いやりの心です。

「だいじょうぶ」というひと言を使って、
私たちはごく自然に、円滑でやさしい
コミュニケーションを生み出しているのです。
そんなおもいやりの心を、区民「一人ひとりの行動」に落とし込んで
まちづくりに活かすのが、このdaijobuプロジェクト!

例えば、目の前の人に関心を持ち「daijobu?」と思いやって声をかけて
相手を助けるための「アクション」を提案することも、
私たちに出来ることのひとつです。

たったひと言の声がけと、おもいやりのアクションは、いつでもどこでも
誰にでも出来る、小さなユニバーサル・デザイン。

誰もが実践できる「視覚障害者への声がけ」
とおもいやりのアクションを、街中に増やすための、
daijobu ポスターづくりに、チャレンジしました!

 

ゲストにお迎えした、新居草太さんと松田昌美さんは、
それぞれ視覚障害を持っていらっしゃいます。

ここでは、視覚障害を持っていてこんな場面で助けがあると嬉しい、
というエピソードを、6つの場面に沿って教えていただき
参加者たちは各自メモをとりながら、そのお話を伺いました。

お二人から挙がったのはこんなエピソードです。

(※あくまで草太さんと昌美さんのケースです。
視覚障害は人によって視え方にも幅があり、状態は様々ですので
まずは相手がどんな事を必要としているのか聞いてみるとスムーズです!)

ホームに並ぶ時
・駅員さんの誘導では、到着駅と連絡がついてからでないと、電車に乗れない。
・手伝ってくれる人は増えたけど、駅員さん任せにする人も多い。
・ホームの列の最後尾が分かりづらい。
・列じゃないところに並んでしまうことも。
・ホームの端が分からず行き過ぎることもある。
・ホームに落ちるのはこわい。

【声がけの例】
・「一緒に電車に乗りましょうか?」
・「こちらが列の最後尾ですよ。」
・「そこから先はホームの端ですよ。」
・「どちらの駅まで行かれるんですか?」 など…

エレベーター
・台数の多い所など、入り口がどこだか分からないことが多い。
・最近は駅等では特に音声が出ないものは、状況が分かりづらい。
・いつドアが開いたのか、分からないことがある。
・上に行くのか?下に行くのか?何階に行くのか?を知りたい。
・「何階ボタンを押して下さい」「着いたら教えて下さい」とお願いすることもある。

【声がけの例】
・「上行きのエレベーターがこちらに着ていますよ。」
・「誘導しましょうか?」
・「何階に行かれますか?」
・「こちらの扉が空いていますよ。」 など…

横断歩道
・自動車や自転車を運転しながらスマホを見ていて、こちらに気付かない人も多い。
・大きな横断歩道以外は、音のガイドが出ないところが多い。
・スクランブル交差点は特にこわい。
・自分の右の車が走り出したら青になった、と認識している。

【声がけの例】
・「青になりましたよ。」
・「もうすぐ赤になりますよ。」
・「車(自転車)が来ていますよ。」
・「一緒に渡りましょうか?」  など…



食事のとき
・ナイフとフォーク難しく、魚料理は特に切っている感覚がない。
・配膳の位置が分かりづらい。
・水の入った透明なグラスなどは、どこにあるのか把握しづらい。
・口の中に入れた時に想像と違い驚く事もあるので、視える人によるガイダンスは重要。

【声がけの例】
・「お皿の中の14時の位置に野菜、18時の位置にはソースがあります。」
という風に、配膳を伝える際は時計の時間の配置に例えると分かりやすい!
・「ここに水の入ったコップがありますよ。」  など…

自動販売機
・どこにどの商品があるか分からない。
・闇買い(当てずっぽでボタンを押して購入)をすることもある!
・このシーズンは、HOTとICEの区別も難しい。
・いつも使う自販機でも、商品の並べ替えがあると位置が分からなくなる。

【声がけの例】
・「何を飲みますか?」
・「ボタンを押しましょうか?」
・「この自販機には、こんな飲み物が入っていますよ。」 …など

トイレの入り口
・男女が分からないことが多い。
・駅のトイレは分かりやすいことが多い。
・男子トイレが手前になっていること多い。

【声がけの例】
・「入り口はこちらですよ。」
・「手前が男子トイレです。」 …など



草太さんと昌美さんのエピソードに、
大人も子供も一生懸命耳を傾けメモをとりました。

それらのお話で伺ったことをもとに、
視覚障害者の方の気持ちと、
自分に出来る声がけの言葉を考え
ポスターのパーツとなる2つの吹き出しに書き込みます。

吹き出しが埋まったら、
各シーンのイラストと組み合わせて
テーブルごとに、ポスターにレイアウト!
草太さんのアコーディオン演奏に耳を傾けながら、
みんな夢中でデザインしました。

最後に各グループで話し合ってキャッチコピーを考え、
6つのカラフルな声がけポスターが出来上がりました。

それぞれに、ステージの上で発表をしてもらった後
完成した6枚のポスターをつなぎ合わせると…
おもいやりのアクションがあちこちで生まれている
MERRYな渋谷の街の絵に!!!





参加者の中には、視覚障害者の方と話をする機会が
あまり無かったという人たちも多く、
草太さんと昌美さんのお話がキッカケになったという感想も頂きました。

また、二人のお話を通して自分との違いを知る事で
むしろ自分と同じなんだ、と感じられる部分もたくさん発見することができ、
今までよりも、視覚障害というものが身近に感じられたという意見も。

今回のワークショップで知る事が出来たことは
視覚障害者の方々が感じられている世界のほんの一部で、
このポスターづくりは、あくまでキッカケに過ぎないでしょう。

お話を聞いても、いざとなるとアクション出来る自信がない
という方もいらっしゃるかもしれませんが、
草太さんと松田さんは、声がけについてこんな風に語ってくださいました。



基本的には、みんな誰かのために必要とされたいはずで、
助けたい気持ちも、助けて欲しい気持ちもあるけれど、
お互いにどうしていいか分からない、というのが本音ですよね。

最終的には、迷ったら
「大丈夫ですか?私に出来ることはありますか?」
「何かお手伝いすることありますか?」と質問をしてみることが一番の近道。
そして、声をかけてもらった側も、
手助けが必要ない場合は「ありがとう」と伝えれば良いだけなんです。

まだまだ、お互いに勉強と経験が足りないだけなので、
私たちのように世の中に出てメッセージ出来るような人たちが、
どんどん出て行って意識を変えて行くことが大事だと思います。

イベント内での限られた時間ではありましたが、
ワークショップ参加者のみなさんは、
それぞれこんな答えに辿り着いたようです。

「やさしい人がいっぱいいれば daijobu」
「やさしい気持ちで daijobu」
「やさしいこころで教えれば daijobu」
「みんなの笑顔があれば daijobu」
「やさしくこえをかけよう えがおひろげよう daijobu」
「優しい心で助け合えば daijobu」

視覚障害に限らず、自分と違いを持った人と関わることは、
少し勇気がいることだけれど、
そこには、MERRYなコミュニケーションのヒントが
たくさん詰まっているはず。

今回出来上がった6枚のポスターが
そのことを物語ってくれています。

おもいやりの気持ちとアクションが
あちこちで生まれているこのポスターの絵が
2020年に向かって、渋谷の街をキャンバスに
社会の中で実現していくことを目指して
まずは、目の前の人に「daijobu?」の声がけをしてみましょう!

ワークショップにご参加・ご協力頂いた皆様、
新居草太さん、松田昌美さん、
本当にありがとうございました!!!

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